尾瀬ヶ原と尾瀬沼のイメージ・魅力とはまったくと言って良いほどに異なるのが、平滑ノ滝と三条の滝。豪快である。
尾瀬ヶ原には周囲の山々から沢水が流れ込み、湿原からあふれた水は八海山(背中アブリ山、1811m)の山裾をヨッピ川となって流れ出す。
尾瀬沼からも、周囲の山々から集めた水が沼尻川となって尾瀬ヶ原に下る。
尾瀬の水を集めたこの二つの川は中田代で合流し、只見川と名を変えて走り出す。東電尾瀬橋のあたりでは川幅も広くなり、水量豊かな急流となる。
6月の雪解けの時節は、激流となって東電尾根橋は渡行できない。
只見川が尾瀬から地層の段差を下るのが平滑ノ滝と三条ノ滝。
この二つの滝は、滝の最上部と滝つぼの落差が共に70m余だが、まったく姿が異なる。
平滑ノ滝は巨大な花崗岩の1枚岩の上を400mに渡って水がすべるように流れる。滝というよりは早瀬を思わせる。
三条ノ滝は水流が崖上から噴出し垂直に落下する瀑布で、特有の轟音と水煙が舞い上がる。
初夏の新緑、真夏の濃緑、秋の紅葉の時節ともに素晴らしい。
交通規制のため大型バスは桧枝岐の先の「七入り」大駐車場まで。七入り〜沼山峠間のシャトルバス(会津乗合バス)に乗り換え、御池で下車。乗車時間は約40分。
シャトルバスは2〜30分間隔で運行される。ハイシーズンにはバスの台数は増えるが、バス乗車待ちの長い列ができる。
交通規制日でなければ、東京・横浜・千葉出発のマイクロバス(25〜28人乗り)利用のツアーは、七入りでの乗換えを行わず、そのまま、御池まで。
マイカー、オートバイ、ハイヤー・タクシーは、御池の駐車場を利用することもできるが、御池の駐車スペースが限られていることを考え合わせると、七入りの大駐車場からシャトルバスに乗り換えるのがベター。
七入の会津乗合バス切符売り場で乗車券を購入し、バス待ちの列に並ぶ。ハイシーズンはバスに乗るまで、数時間待つこともある。
七入り、御池に到着後、トイレを済ませておく(トイレ利用は無料だが100円の寄付を 呼びかけている)。御池を後にすると、赤田代の元湯山荘・温泉小屋までトイレは無い。
帰路は、御池から七入りまでシャトルバスを利用する。鳩待峠へ抜ける場合は、鳩待峠から戸倉までマイクロバスを利用する。ハイシーズンはバスに乗るまで、長時間待つこともある。
鳩待峠から御池に抜ける場合は、別項、鳩待峠〜尾瀬ヶ原コースも参照ください。
尾瀬御池ロッジ・山の駅御池を背に、御池駐車場の中を奥へと進むと鬱蒼とした樹林の中の山道・燧裏林道になる。
5分ほどで、左手に伸びる燧ケ岳登山道の分岐となる。そのまま木道を進むとすぐに右手に視界が開け、御池田代の湿原となる。色とりどりの草花が楽しめる。
夏の早朝は、木道を歩いていても、草露で膝から下がビショ濡れになる。
田代坂の木道急階段を登り、姫田代の小さな湿原を抜け、さらに急坂を登って上田代に達する。ここまで約30分。
上田代はこのコース唯一の大きく視界が広がる湿原。休憩ベンチが設けられ、晴れた日には、斜面の疎林の向こうに平ゲ岳や荒沢岳など越後連山が望める。
再び、樹林帯の中を進み、横田代に出る。木立に囲まれて眺望は無い。横田代は傾斜が急で、池塘が階段状に並んでいる。
いくつかの小ぢんまりした湿原を繰り返し抜けて、木道は樹林帯に入る。出戸深沢を渡り、平坦な道を進むと天神田代に達する。
木々の間から燧ケ岳北面の岩肌と噴火口の跡が見える。天神田代のはずれから、右手方向に渋沢温泉への山道が伸びている。
小さな写真をクリックすると、400×300pixelsの画像が別画面で開きます。開いた画像の最大化ボタンをクリックすると1200×900pixelsまで拡大できます。
天神田代を後にゆるい坂を下ると、視界が開けた涸れ沢に出る。大きな岩石が転がる沢に掛かる吊橋を渡り階段を下ると再び山道になる。
いくつかの小さな沢を渡り、ブナの木など広葉樹林の原生林の中を進む。燧裏林道の秋は紅葉のトンネルとなる。
急斜面を登り燧裏林道分岐に達する。御池からここまで120〜130分のウォーキング。
分岐の左方向は段吉新道が伸び、赤田代、尾瀬ヶ原に続いている。滝を見た後で、赤田代から御池への帰路に段吉新道を経た場合は、この燧裏林道分岐に戻り着き、燧裏林道に合流して御池に戻ることになる。
分岐を直進し、三条ノ滝分岐へと進む。
三条ノ滝分岐から三条ノ滝へは石ころや木の根がはびこる急坂な山道をジグザグに下る。
ここは登山靴が良い。
山道を下りきって、木のはしごを手すりを伝って旧展望台に下る。
木々の間から滝が見える。山道を下る途中で滝の音は聞こえて来るが、ここまで来ないと滝は見えない。
さらに、木製階段を下ると三条ノ滝展望台に出る。
滝に向って大きく張り出した展望台から、滝が間近に見える。轟音、爆音、岩上から吹き出る白水、飛び散るしぶき、水煙に映る虹の色、迫力満点の光景だ。
御池からここまで150〜170分のウォーク。途中の休憩を考えると、180〜210分掛かる。
三条ノ滝を後に、三条ノ滝分岐まで急坂を登り返す。息が切れる。
平滑ノ滝へアップダウンを繰り返しながら赤田代に向って山道を進む。標識に従って、平滑ノ滝へ向う林道に入り、山道を下る。
山道の傾斜がきつくなり、木製梯子を下ると、さして広くはない岩場に出る。ここが平滑ノ滝展望台。
岩場から足元を覗き見ると、巨大な花崗岩の上を滑る水流が岩肌に砕けて、無数の白い波が大きなレース模様を見せる。
秋は、周囲の山々の紅葉と急流の白いレース模様のコントラストが美しい。
瀑布の轟音とは異なる急流の水音が聞こえる。
平滑ノ滝から山道を登って赤田代へ続く道に出て、変化の無い樹林の中を進む。
樹林帯を抜けると段吉新道分岐に達し、右手に尾瀬原休憩所、公衆トイレ、元湯山荘、温泉小屋、が現れる。
必要なら飲食休憩を取り、赤田代分岐へと木道を進む。湿原と遠くの山並みが広がる尾瀬らしい光景となる。
ここから先には、尾瀬ヶ原を抜けて鳩待峠へ達する木道が続いている。
小さな写真をクリックすると、400×300pixelsの画像が別画面で開きます。開いた画像の最大化ボタンをクリックすると1200×900pixelsまで拡大できます。
赤田代分岐から引き返し、段吉新道分岐を右に進んで、段吉新道に入る。小さなアップダウンを繰り返す樹林帯の木道と山道が左右に折れ曲がりながら続く。
燧ケ岳の山裾を這うよう様な細い道で、変化に乏しいが、息が上がるような急坂が無い。
60分ほどで燧裏林道分岐に到達、往路と逆行して樹林の中を涸れ沢〜天神田代〜上田代〜御池田代〜御池〜(七入り)へと戻る。
燧裏林道分岐から御池までは130〜140分、赤田代の折り返しから200分となる。
御池の駐車場を抜けると、左手に七入り行きシャトルバス乗り場がある。
赤田代分岐〜東電小屋〜ヨッピ橋〜牛首分岐〜山ノ鼻〜鳩待峠 200〜220分
赤田代分岐〜見晴十字路〜竜宮十字路〜牛首分岐〜山ノ鼻〜鳩待峠 210〜230分
尾瀬ヶ原のパノラマの中、景観を楽しみながら平坦な木道を少々早歩きで進む。
このコース最後に、山ノ鼻から鳩待峠へ標高差200mを上る。疲れた体には、きつく感じるだろう。
(尾瀬ヶ原の詳細は、別項、尾瀬ヶ原を参照)
赤田代分岐は尾瀬ヶ原一周コースの最深部。東電小屋に向う途中で、只見川に掛かる東電尾瀬橋を渡る。
ヨッピ川と沼尻川が合流した只見川は川幅は広く水量も豊か。
水量が増した時期は東電尾瀬橋は通行止めになる。
通行止めになった場合は、赤田代分岐〜見晴十字路〜竜宮十字路の道のりを行くしかない。
予め、東電尾瀬橋とヨッピ橋の通行可の確認をとっておくこと。
東電尾瀬橋を渡ると木道は山裾の木立の中になり、尾瀬ヶ原の景色は断たれる。
20分ほどで東電小屋に着く。休憩ベンチ、トイレがある。ビールやコーヒーの販売あり。
東電小屋を後に、木立に囲まれた山裾の草原の中の木道を15分ほど進むとヨッピ橋に達する。
ヨッピ橋はヨッピ川に掛かる橋。
尾瀬ヶ原は周囲の山々の水を集めた巨大な水瓶で、集められた水はヨッピ川となって、下流の只見川へと続く。
ヨッピ川は川幅10mに満たないが、春先の雪解け時は水量が増し、ヨッピ橋は通行止めになることがある。
通年、水量は豊富で、水を集めて平滑ノ滝では川幅が大きく広がり、三条の滝では瀑布となる。
竜宮十字路から尾瀬ヶ原を横断してきた木道が、ヨッピ橋の先で木道に合流する。
直進の牛首分岐に向う木道は、山裾のうっそうとした林を右に、左に広大な尾瀬ヶ原と遠くの山々を見て歩くワタスゲの多い湿原になる。初夏はニッコウキスゲが咲き乱れる。
木道左側の池塘は、尾瀬ヶ原向こうの燧ケ岳や対面の山々を映している。
やがて木道は拠水林の木立と湿原を抜け、牛首分岐に達する。
山ノ鼻へ向う木道を進むと、至仏山がどんどん間近に大きくなり、振り返ると、燧ケ岳が小さくなっていく。
池塘郡で振り返ると、遠くの燧ケ岳を水面に映した姿が美しい。
秋は、陽光の下で黄金色に輝く草紅葉の中で周囲の山々の紅葉を映した池塘郡の景色が、ひときわ素晴らしい。
やがて湿原が狭くなり、木道の先に山ノ鼻の小屋が見えてくる。
山ノ鼻ビジターセンターを後にして川上橋を渡り、木立の中を通り、小さな湿原をしばらく歩く。
川上川上流の渓流に接する地点で木道は左折し、鳩待峠への標高差186mの急坂を登ることになる。
尾瀬ヶ原を歩いた後の登り道はきつい。無理をせず、後から続く人に道を譲ってを先にやり、小休止を重ねながら、ゆっくり歩いて90分程で鳩待峠に着く。
時間に余裕があれば、鳩待峠の休憩所の風呂や、戸倉・片品の温泉で汗を流して帰りましょう。
. .................... All rights reserved. Copyright (C) CK.Vivace ..................